スペイン南部のアンダルシア地方にあるコルドバは、後ウマイヤ朝の首都として栄えた歴史ある街です。その名残から、世界遺産に登録されている歴史地区にはイスラム教とキリスト教の2つの宗教が混在するメスキータ、アラブ式の庭園が美しいアルカサルといった素晴らしい見どころがあります。
コルドバには美しい花が咲き誇る旧ユダヤ人街やアラブ城壁があり、街歩きも醍醐味の一つです。マドリードから日帰りで観光することもできますが、今回は1泊して街の散策もじっくりと楽しみました。おすすめの観光スポットや所要時間を紹介していきます。
コルドバ観光の所要時間
コルドバの歴史地区には見どころが集まっているので、徒歩で観光することができます。主な見どころであるメスキータや旧ユダヤ人街、その他のスポットを巡って半日~1日くらいです。所要時間の目安としては、さっくり回って4時間、ゆっくり回って6時間くらいでしょう。
またマドリードとコルドバは約400km離れているのですが、レンフェ(Renfe)の高速列車AVEを利用すれば日帰りで観光することもできます。所要時間はわずか1時間45分、1時間に1~2本運行しているので非常に便利です。
コルドバのおすすめ観光スポットの地図
今回は実際に、ローマ橋・カラオラの塔→アルカサル→メスキータ→旧ユダヤ人街・花の小道という順で巡ってきました。
①ローマ橋 ②カラオラの塔 ③プエンテ門 ④サン・ラファエル勝利の像 ⑤アルカサル ⑥メスキータ ⑦花の小道 ⑧サン・バルトロメ教会 ⑨マイモニデス像 ⑩シナゴーグ ⑪アルモドバル門
ローマ橋・カラオラの塔
ローマ橋は約2000年前の古代ローマ時代に造られた、グアダルキビール川に架かる石造りの橋です。どっしりとした太い橋脚と16のアーチが特徴的です。
グアダルキビール川は、アンダルシア地方で最長の大きな川です。
ローマ橋を渡った先には、イスラム時代に造られた要塞のカラオラの塔があります。
ローマ橋の中ほどには、コルドバの守護聖人サン・ラファエルの像が立っています。
カラオラの塔は、12世紀に建てられた街を守るための砦です。現在はアル・アンダルス博物館として利用されており、コルドバの歴史を知ることができます。また塔の上は展望台になっており、コルドバの街を一望することができます。
開館時間:5月~9月は10:00~14:00/16:30~20:30、10月~4月は10:00~18:00
休館日:なし
入場料:4.50ユーロ
ローマ橋からは、コルドバで一番人気の観光スポットであるメスキータが見えます。夜に訪れると、ライトアップされたメスキータが見れますよ。
ローマ橋のたもとにあるプエンテ門は、もともとアラブ城壁の一部だったため重厚な造りをしています。プエンテは橋という意味なので、そのまんま「橋の門」と名付けられています。16世紀にルネサンス様式の凱旋門に改築されているので、城壁っぽさは感じませんね。
プエンテ門の近くには、ローマ橋の上にもあったコルドバの守護聖人サン・ラファエル勝利の像があります。大天使の1人であるラファエルは、コルドバでペストが流行した時に街を守り抜いたという伝説から、コルドバの守護聖人となっています。
サン・ラファエル勝利の像やメスキータの周辺には、名物の観光馬車が走っています。
アルカサル
アルカサルは、14世紀にアルフォンソ11世の命によって建てられた中世のお城です。イスラムの影響が色濃く残る城と、美しく手入れされた広大な庭園が特徴です。コルドバといえばメスキータが有名ですが、時間があればぜひアルカサルにも入場してみて下さい。
開館時間:8:30~20:45(土曜~16:30、日曜・祝日~14:30)
休館日:月曜
入場料:4.50ユーロ
アルカサルの北側(カバレリサス・レアレス通り)は、椰子の木やオレンジの木が生える広場になっています。
この広場側にアルカサルの入口とチケット売り場があります。チケット売り場の係員は一人しかいないので、入場するまで20分くらい待たされました…。
重厚な扉が付いた入口の先では、アルフォンソ11世の像が観光客をお迎えします。
3世紀頃のローマ時代の石棺です。60年ほど前にコルドバで出土したものなのですが、細かい彫刻がはっきりと残っていて非常に状態が良いですね。
モザイクの間には、コルドバで出土したモザイク画が展示されています。向かって左手には、壁の一面をほとんど占めてしまうほどの大きさがある幾何学模様のモザイク画。
左は可愛らしい顔をしたメデューサ、右はギリシャ神話のエロスとプシュケのモザイク画。
こちらもギリシャ神話に出てくるガラティアとポリュペーモス。モザイク画の中でも、この作品とメデューサの保存状態が良かったですね。
モザイクの間のテラスからは、遺跡の発掘現場を眺めることができます。アルカサルが建てられる前は、西ゴート王国の要塞や後ウマイヤ朝の宮殿として利用されていたのでその時代のものでしょうか。
遺跡発掘現場の建物を挟んで反対側には、真っ白な大理石の池が美しい中庭があります。
中庭の回廊の先にはアラブ浴場跡があります。正直ただの石壁の部屋にしか見えませんね…。
続いては階段を上って屋上へやってきました。城壁の上はこのように通路になっており、向こう側へ歩いていけるようになっています。
通路を渡ってさらにもう一段、トンガリ屋根の塔を上ると…
コルドバの街並みを一望することができます!こちらはローマ橋とカラオラの塔。
違う方向に目をやると、メスキータとミナレット(鐘楼)が見えます。
こちらは先ほど見学したアルカサルの中庭ですね。
なんと美しい庭園なんでしょう!次は、塔を下りて庭園を見学したいと思います。
アルカサルといえば何と言っても、この美しく手入れされたアラブ式の庭園が一番の見どころです。植木に囲まれた長方形の池が向こうまで延びています。本来ならこの池は噴水が出ていてもっと美しいのですが、この日は残念ながら噴水が止まっていました。
このローマ遺跡っぽい列柱もここで発掘されたのでしょうか。
糸杉がまるで列柱のようにニョキニョキと生えており、圧巻の光景です。生垣も綺麗に整備されており、この時期にもかかわらず色とりどりの花が咲き乱れていました。
この像は探検家コロンブスが、スペインを統一したカトリック両王(フェルナンド2世とイサベル1世)に謁見しているシーンです。あまり知られていないかもしれませんが、このコルドバでの謁見後、スペインはコロンブスの航海への援助を決定します。そしてこの援助を受け航海に出たコロンブスは、アメリカ大陸発見という偉業を成し遂げるのです。
庭園で一番おすすめの撮影スポットがココ!池と噴水、お花、糸杉がいっぺんに写りますよ。
どこを撮影しても絵になりますね。