太陽の沈まぬ国と称えられたスペインの首都マドリードは、スペイン王家の関連スポットが多く残る街です。世界屈指の美術作品に触れられる街としても有名で、世界三大美術館の一つであるプラド美術館、現代アートの巨匠ピカソらの作品が集まるソフィア王妃芸術センターといった美術館があります。
マドリードの観光スポットは、市中心部のマドリード王宮周辺とレティーロ公園周辺に集まっています。徒歩で各見どころを巡ることもできますが、レティーロ公園とスペイン広場は少し離れているので地下鉄を利用するのがおすすめです。
マドリード観光のおすすめモデルコースの地図
今回紹介するモデルコースは実際に1日で巡ったものになります。大まかに、レティーロ公園→地下鉄でスペイン広場へ移動→マドリード王宮→アルムデナ大聖堂→マヨール広場→プエルタ・デル・ソルという観光ルートです。
①アルカラ門 ②レティーロ公園 ③シベレス広場 ④シベレス宮殿 ⑤スペイン広場 ⑥サバティーニ庭園 ⑦マドリード王宮 ⑧オリエンテ広場 ⑨王立劇場 ⑩アルムデナ大聖堂 ⑪サン・ミゲル市場 ⑫マヨール広場 ⑬プエルタ・デル・ソル
レティーロ公園
所要時間:30分レティーロ公園は、地下鉄を利用すると2号線のレティーロ駅が最寄り駅となります。レティーロ駅から公園へ向かう途中には、マドリードを象徴する建造物であるアルカラ門が建っています。アルカラ門はその名の通りアルカラ通りに建っている立派な白い門で、かつてはこの門がマドリードの東の境界線となっていました。
アルカラ門の前には、レティーロ公園の北側入口があります。マドリード市民の憩いの場であるレティーロ公園は、プラド美術館の東側に位置する広大な公園です。プラド美術館やエスタシオン・デル・アルテ駅(旧アトーチャ駅)から歩いて行くこともできます。
園内に足を踏み入れると、とても大きな公園だということがよく分かります。かつてはフェリペ2世の夏の離宮や庭園などがあり、王族達にも愛された憩いの場所です。
今回は紅葉の時期に訪れたので、園内の木々は赤やオレンジに美しく色付いていました。散歩やジョギング・読書を楽しむ人、家族連れやカップル達が思い思いの時間を過ごしています。
大きな池では可愛らしいカモの親子が泳いでおり、手漕ぎボートに乗ることもできます。池の真ん中に建っているのは、アルフォンソ12世の騎馬像です。
この他にも園内には、ソフィア王妃芸術センターの展示会場であるベラスケス館やクリスタル館、美しいバラが咲き誇るバラ園や彫刻が並ぶ小道、堕天使の噴水やガラパゴスの噴水などがあります。
素晴らしい演奏を披露してくれたパフォーマー。何ともヨーロッパらしいひとコマです。
公園内は騎馬警察がパトロールしているので安全ですが、朝・夜などの人が少ない時間帯や人が少ない場所は治安が悪いので行かないようにしましょう。
次の目的地であるスペイン広場へは地下鉄で移動するのですが、レティーロ駅からではなく隣駅のバンコ・デ・エスパーニャ駅から乗車したいと思います。バンコ・デ・エスパーニャ駅前には、マドリードで最も美しいと言われるシベレス広場と宮殿があります。
シベレス広場の中央には円形のシベレス噴水があり、噴水を取り囲むようにして4つの歴史的建造物が建っています。スペイン陸軍司令部があるブエナビスタ宮殿、リナレス宮殿、シベレス宮殿、スペイン銀行本店です。この中で最も美しいと言われているのが、マドリード市庁舎であるシベレス宮殿(正式名称はコムニカシオネス宮殿)になります。
続いては、地下鉄のバンコ・デ・エスパーニャ駅からスペイン広場のあるプラサ・デ・エスパーニャ駅へ移動します。2号線に乗ってソル駅で3号線に乗り換え、15分くらいで到着します。
スペイン広場
所要時間:15分スペイン広場は高層ビルに囲まれた場所にある、都会のオアシスのような広場です。プラサ・デ・エスパーニャ駅を出ると、一番最初に大きな噴水が見えます。
スペイン広場の中心には、ドン・キホーテの作者であるセルバンテスの没後300年を記念して建てられた白い大きなモニュメントがあります。モニュメントの後ろに建っているのはスペインビル、左側にあるのはマドリードタワービルです。
モニュメントの中央には、ドン・キホーテの作者ミゲル・デ・セルバンテスの彫像。
セルバンテス像の真下には、馬のロシナンテにまたがっているドン・キホーテ、ロバにまたがっている従者のサンチョ・パンサの銅像があります。
ドン・キホーテとサンチョ・パンサ像の両隣には、村娘アルドンサとドルシネア姫の彫像が立っています。オリーブの実が入ったざるを手にしているのがアルドンサです。
ドン・キホーテの想い人がドルシネア姫。
次の目的地であるマドリード王宮へは、歩いて5分ほどで到着します。スペイン広場内には、マドリード王宮の方向を示す看板が立っています。
マドリード王宮
所要時間:1時間半~2時間スペイン広場方面から歩いていくと、一番最初にサバティーニ庭園が見えてきます。マドリード王宮は北側をサバティーニ庭園、東側をオリエンテ広場と王立劇場、南側をアルメリア広場とアルムデナ大聖堂に囲まれた巨大な宮殿です。
マドリード王宮は、1738年にフェリペ5世の命によって建てられました。フェリペ5世はフランスのベルサイユ宮殿で育ったため、イタリアやフランス風の王宮建設を命じました。1931年にアルフォンソ13世が国外亡命するまでは、歴代の王家が暮らしていた由緒ある宮殿です。現在の国王であるフェリペ6世一家は、郊外のサルスエラ宮殿で暮らしています。
オリエンテ広場の中央には、フェリペ4世の騎馬像が立っています。政治力はありませんでしたが、美術に精通した人物でベラスケスやルーベンスを宮殿画家に迎えて多くの作品を生み出すきっかけを作りました。
オリエンテ広場内には彫刻像ずらり並んでいます。
フェリペ4世像の正面にはオペラ公演などが行われる王立劇場があります。
王宮内には約3400室もの部屋があると言われており、一般公開されているのはごく一部の部屋と博物館だけです。ベラスケスやルーベンス、ゴヤなど有名画家の作品や主階段の天井に描かれたフレスコ画、豪華な調度品など当時の繁栄ぶりがうかがえる贅沢な空間になっています。
王宮の入口とチケット売り場は、南のアルメリア広場側にあります。今回は平日に訪れたのでそれほど混雑していませんでしたが、ピークシーズンや週末は行列ができる場合もあります。
開館時間:4~9月は10:00~20:00、10~3月は10:00~18:00
入場料:大人11ユーロ、子供(5~16歳)6ユーロ、5歳以下無料
注意事項:王宮内は全面撮影禁止です。
アルムデナ大聖堂
所要時間:10分マドリード王宮の向かい側に建っている壮麗な建物は、カトリック教会のアルムデナ大聖堂です。正式名称はサンタ・マリア・ラ・レアル・デ・ラ・アルムデナ大聖堂と言い、2004年に現国王であるフェリペ6世の結婚式が行われた場所でもあります。100年以上の歳月をかけて建てられ、なんと完成したのは1993年というから驚きです。
レティーロ公園でも見かけた騎馬警察が大聖堂と王宮周辺をパトロールしています。白馬に乗った警官様からばっちりカメラ目線をいただきました。
開館時間:9:00~20:30
入場料:無料 ※博物館と展望台は有料
続いては、アルムデナ大聖堂から歩いて5分程の場所にあるサン・ミゲル市場へ向かいます。その道中には、触られすぎてお尻が光輝いている銅像を発見(笑)
サン・ミゲル市場
所要時間:1時間観光客に大人気のサン・ミゲル市場は、バルなど約30店の飲食店が集まったフードコートのような場所です。ガラス張りの大きな建物で、メインストリートのマヨール通りから一本入ったところにあります。
営業時間は店舗によって異なりますが、大体10:00~24:00(木・金・土曜は翌2:00)です。いつ訪れても混雑していますので、くれぐれもスリには気を付けてくださいね。
生ハムやチーズ、海鮮、野菜、果物、フレッシュジュース、チョコレートなど様々なお店が軒を連ねており、その場で立ち食い・立ち飲みができます。値段は少し高めですが、観光ついでにさっくりと食べ飲みするにはぴったりなスポットだと思います。
また、サン・ミゲル市場の近くには人気の飲食店があり、生ハムの有名店であるムセオ・デル・ハモンなどがあります。
こちらはマッシュルームの有名店であるメソン・デル・チャンピニョンです。
マドリードを訪れたら絶対に外せないのが、チュロスの有名店であるチョコラテリア・サン・ヒネスです。一番人気のメニューは、チュロス6本とホットチョコレートのセット「CHOCOLATE CON 6 CHURROS」3.9ユーロです。
これで一人前なのですが、見かけに反してかなりボリュームがあります。チョコレートは甘さ控えめで食べやすいのですが、チュロスの方は結構油っぽいので、二人で一人前をシェアしてもいいかもしれません。
マヨール広場
所要時間:15分サン・ミゲル市場のすぐ隣には、石畳の美しいマヨール広場があります。広場には9つのアーチがあり、中でも有名なのが南西にあるクチリェロスのアーチです。
マヨール広場は四方を美しい集合住宅に囲まれた広場で、オープンテラスのカフェやレストランがあります。観光客や大道芸人で賑わっており、12月にはクリスマス市も開かれます。
かつては闘牛やサッカー、国王の宣誓、公開処刑など様々な行事がこの広場で行われていました。広場の中央には、「怠惰王」と呼ばれたフェリペ3世の騎馬像が立っています。
プエルタ・デル・ソル
所要時間:10分観光の中心地であるプエルタ・デル・ソルは、マドリードで一番有名な広場です。いつ訪れても混雑しており、待ち合わせ場所としても人気のスポットです。広場の名前であるプエルタ・デル・ソルは「太陽の門」を意味し、かつてマドリードの街を取り囲んでいた城壁の門に由来しています。
広場の南側には時計塔が目印のマドリード自治政府庁があり、その正面にはカルロス3世の騎馬像が立っています。プエルタ・デル・ソルのシンボルである「熊と山桃の木の像」は、マドリード市の紋章になっています。また、この場所がスペイン国道の起点であることから、0km地点のプレートが地面に埋め込まれています。以上で市内観光は終了となります。
プラド美術館とソフィア王妃芸術センター
マドリード観光では、世界屈指の美術作品を所蔵するプラド美術館とソフィア王妃芸術センターも見逃せないスポットです。二つの美術館は、夜間に訪れると入場料が無料になります!
実際に両美術館とも無料で入場してきたので、レポートページも合わせてご覧下さい。
まとめ
今回はレティーロ公園周辺から観光をスタートしましたが、マドリード王宮周辺からスタートするのも良いと思います。レティーロ公園は夕方頃から治安が悪くなるので、明るい昼間に訪れましょう。昼間はたくさん人が居て、治安の悪さは微塵も感じられませんでした。
また、市内観光は地下鉄のソル駅があるプエルタ・デル・ソルを観光拠点にすると便利です。プエルタ・デル・ソル周辺には、バルやレストランなどの飲食店やショッピングスポットが充実しているので、このエリアのホテルに宿泊するのがおすすめです。