マドリードで絶対に訪れたいのが、世界三大美術館の一つとも言われるプラド美術館です。所蔵作品は約2万点、展示作品も数千点にのぼり、全ての作品をじっくり見るなら何日もかかるほどの規模を誇っています。数あるコレクションの中でも見逃せないのが、ベラスケス、ゴヤ、エル・グレコの三大巨匠の作品です。
またプラド美術館は素晴らしいことに、通常は15ユーロの入場料がかかるところ、閉館2時間前になると無料で入場することができます。今回は実際にプラド美術館へ無料入場してきたので、開館時間・入場料、見どころ、チケットの予約方法について詳しく紹介していきます。
プラド美術館について
開館時間
月曜~土曜 10:00~20:00
日曜・祝日 10:00~19:00
1/6、12/24、12/31 10:00~14:00
※最終入場は閉館の30分前まで
休館日
1/1、5/1、12/25
入場料
- 大人 15ユーロ
- シニア(65歳以上) 7.5ユーロ
- 学生(18~25歳) 無料
- 子供(18歳以下) 無料
- 入場チケット+プラド美術館公式ガイドブック 24ユーロ
- パセオ・デル・アルデ・カード(プラド美術館、ソフィア王妃芸術センター、ティッセン・ボルネミッサ美術館の入場券セット) 30.40ユーロ
無料入場できる時間
月曜~土曜 18:00~20:00
日曜・祝日 17:00~19:00
所要時間
プラド美術館の見学にかかる所要時間は、館内全体を駆け足で回ると2時間、ゆっくりと鑑賞するなら3時間が目安となります。美術好きの人がじっくりと鑑賞するなら、4時間以上はかかると思っておくと良いでしょう。また無料入場できる時間は2時間しかないので、マイペースに回りたいのであれば入場料を払って見学するのがおすすめです。
施設・サービス
【セキュリティチェック】
入場時には荷物のX線検査と金属探知機の検査があるので、大きすぎる荷物は持って行くと邪魔になります。
【コインロッカー・手荷物預かり所】
館内には40×40cm以上の荷物を持ち込めないので、大きな荷物や傘はコインロッカーか手荷物預かり所に預ける必要があります。
【インフォメーションカウンター】
0階のインフォメーションカウンターでは、無料の館内マップがもらえます。館内マップは日本語を含む14言語に対応しています。英語版であれば、プラド美術館公式サイトからダウンロードもできます。
【オーディオガイド】
0階のカウンターでは、オーディオガイドを貸し出しています。日本語を含む13言語に対応しており、1台4ユーロでレンタルできます。
【ミュージアムショップ】
0階のミュージアムショップでは、プラド美術館の公式グッズや書籍などを扱っています。
【カフェ・プラド】
0階にはカフェがあるので、歩き疲れたら一息つくことができます。コーヒーや軽食をはじめ、ランチタイムにはきちんとした食事メニューも提供されています。営業時間は閉館の30分前まで、カフェ内ではWi-Fiが無料で使用できます。
注意事項
- プラド美術館内では、写真や動画の撮影が一切禁止されています。
- 館内はカフェ以外での飲食が禁止されています。
- 閉館30分前まで入場できますが、閉館10分前には展示室より退場となります。
プラド美術館のチケット購入・予約方法
プラド美術館の入場チケットは、①現地のチケット売り場、②公式サイトでオンライン予約(英語)、③チケット販売サイトでオンライン予約(日本語)のいずれかで購入可能です。
プラド美術館はここ数年で人気が上昇しており、来館者の数が急増しています。以前は並ばずにチケットを買うことができましたが、夏の観光シーズンや週末はチケット売り場に行列が出来ます。公式サイトによると11:00~13:30が最も混雑する時間なので、オンライン予約が推奨だそうです。無料入場の場合は、事前に予約していく必要はありません。
プラド美術館公式サイトから予約する(英語)
プラド美術館公式サイトからオンライン購入する場合は、英語での予約となります。チケットの料金は現地のチケット売り場で購入した場合と同じ15ユーロに、0.5ユーロの予約手数料が加算されます。予約日の指定が必要で、購入後の変更や払い戻しはできません。
チケット販売サイトから予約する(日本語)
プラド美術館の入場チケットは、チケット販売サイトのゲットユアガイドから予約することもできます。日本語で簡単に予約できるのに、料金は公式サイトから予約した場合と同じ15.5ユーロです。こちらも予約日の指定は必要ですが、24時間前までなら無料でキャンセルできるのがメリットです。
プラド美術館の見取り図
プラド美術館は、-1階、0階、1階、2階の4フロアで構成されています。主な作品は0階と1階に展示されているので、この2つのフロアを中心に回ると良いでしょう。-1階と2階は展示室数も少ないので、美術好きでない限り訪れなくても良いと思います。
0階は、日本の1階にあたるフロア。入場口やチケット売り場、オーディオガイドの貸出カウンター、コインロッカー、ミュージアムショップ、カフェがあります。展示室は第47~第75室まであり、ゴヤやボスの作品が展示されています。
1階には、展示室の第2~第44室があります。ベラスケス、ゴヤ、エル・グレコなどの有名作品は1階に展示されているので、時間がない方はこのフロアだけ見学するのがおすすめです。
プラド美術館の必見作品リスト
プラド美術館にはスペイン絵画をはじめ、イタリア、フランドル(ベルギー)、ドイツ、オランダ、フランスなど15~19世紀のヨーロッパ絵画が多く展示されています。
特に、三大巨匠のベラスケス、ゴヤ、エル・グレコの作品数は充実しています。巨匠作品の中でもベラスケスの「ラス・メニーナス」、ゴヤの「着衣のマハ」「裸のマハ」、エル・グレコの「胸に手を置く騎士」は絶対に見逃せない作品です。それでは、プラド美術館の必見作品30点を紹介していきます。
画像出典:https://www.museodelprado.es
第12室 ディエゴ・ベラスケス「ラス・メニーナス(女官たち)」
ベラスケスの最高傑作であり、プラド美術館を代表する作品。中央のマルガリータ王女は明るく、奥の登場人物は暗い色彩で描かれています。光の明度によって遠近感が表現されているため、ベラスケス・マジックとも言われています。
第12室 ディエゴ・ベラスケス「マルガリータ王女」
第10室 ディエゴ・ベラスケス「バッカスの勝利」
第9A室 ディエゴ・ベラスケス「ブレダの開城」
第8B室 エル・グレコ「胸に手を置く騎士」
左 第9B室 エル・グレコ「聖三位一体」
右 第9B室 エル・グレコ「受胎告知」
左 第9B室 エル・グレコ「聖霊降臨」
右 第10B室 エル・グレコ「羊飼いの礼拝」
第36室 フランシスコ・デ・ゴヤ「着衣のマハ」「裸のマハ」
ゴヤの最高傑作と言われるのが、こちらの二作品。同じポーズの女性を描いた珍しい作品で、こうして同時に見比べられるのはさすがプラド美術館といったところ。こういった女性の肖像画は当時タブーだったため、この絵が発見された時は大問題になったそうです。
第64室 フランシスコ・デ・ゴヤ「1808年5月3日プリンシペ・ピオの丘での銃殺」
第32室 フランシスコ・デ・ゴヤ「カルロス4世の家族」
第86室 フランシスコ・デ・ゴヤ「日傘」
第67室 フランシスコ・デ・ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
第17室 バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「善き羊飼い」
第16室 バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「無原罪のお宿り(ベネラブレス)」
第29室 ピーテル・パウル・ルーベンス「三美神」
第56A室 ヒエロニムス・ボス「快楽の園」
第49室 ラファエロ・サンティ「枢機卿の肖像」
第56B室 フラ・アンジェリコ「受胎告知」
第40室 カラヴァッジョ「ダヴィデとゴリアテ」
第25室 ティントレット「使徒の足を洗うキリスト」
第44室 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「ダナエ」
第27室 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「カルロス5世の騎馬像」
第56A室 ピーテル・ブリューゲル「死の勝利」
第16B室 レンブラント・ファン・レイン「アルテミシア」
第9室 ホセ・デ・リベラ「ヤコブの夢」
第58室 ロヒール・ファン・デル・ウェイデン「十字架降架」
第62B室 フェデリコ・デ・マドラーソ「ビルチェス伯爵夫人の肖像」
プラド美術館の行き方
プラド美術館はマドリード中心部の東側、レティーロ公園に隣接した場所にあります。最寄り駅の地下鉄1号線のエスタシオン・デル・アルテ駅(旧アトーチャ駅)からは、徒歩8分ほどでアクセスできます。
地下鉄2号線のバンコ・デ・エスパーニャ駅(Banco De Espana)からもアクセスでき、徒歩10分ほどです。
プラド美術館の無料入場レポート
私達は、宿泊していたアトーチャ駅前のホテルメディオディアからプラド美術館へ向かいました。無料入場だと帰りが20時頃になるので、スリの多い地下鉄に乗るよりも、歩いて戻れるホテルの方が安心かと思いこのホテルを選びました。
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アトーチャ駅からプラド美術館へと続く「プラド通り」は、緑が多くて明るい雰囲気です。
ホテルから歩いて10分もしないうちに、プラド美術館へ到着しました。プラド美術館の南・北・西側の扉前には、それぞれ有名画家の銅像が立っており、観光客に人気の撮影スポットになっています。こちらは西側のベラスケスの扉前に立つ「ベラスケスの銅像」です。
北側にはチケット売り場があります。
北側のゴヤの扉前には、「ゴヤの銅像」が立っています。
チケット売り場は閑散期だとそれほど混雑しませんが、繁忙期は大行列が出来ます。
無料入場が始まる1時間くらい前から、無料入場を待つ人々が並び始めます。ゴヤの扉からベラスケスの扉にかけて、最大で100m近くもの行列が出来ていました。今回は繁忙期ではなかったので、約40分前に並んで先頭のあたりでした。無料入場開始の30分を切ると一気に行列が伸びたので、遅くても30分前、繁忙期なら1時間前に並ぶのがおすすめです。
無料入場が始まる18時ぴったりになると、行列が進み始めます。チケット売り場では、0ユーロと記載された入場チケットが一人一人に手渡されます。
プラド美術館の入口は、「ゴヤの扉」「ムリーリョの扉」「ヘロニモスの扉」の3か所あります。一般の入場者は、東側にあるヘロニモスの扉から入場します。
ヘロニモスの扉前には、扉の名前の由来となったサン・ヘロニモ・エル・レアル教会があります。創建は1501年、スペインの歴代国王の戴冠式も行われていた歴史ある教会です。マドリードに残る唯一のゴシック様式の教会でもあります。
プラド美術館は撮影禁止なので、残念ながら館内の写真はありません。閉館時間ギリギリまで見学し、ほぼ全ての展示室を駆け足で見て回ることができました。ゴヤの扉から退場すると、すでに日が暮れていました。
閉館直後の美術館周辺には、たくさん人が歩いています。
帰りがけに、綺麗な中庭と「ムリーリョの銅像」をパチリ。
プラド通りにはお店やホテルなどが多くあるので、夜でも明るい雰囲気です。治安の悪さはそれほど感じなかったので、安心してホテルへ帰ることができました。
まとめ
今回の旅では、マドリードの二大美術館であるプラド美術館とソフィア王妃芸術センターに行くことが大きな目的の一つでした。時間と予算を有効に使いたかったので、無料入場できる夜間に見学しましたが、2時間しかなくても結構楽しめました。無料入場の場合はオンライン予約していく必要はありませんが、昼間に訪れる場合は予約していった方が良いです。最も混雑する11:00~13:30頃、夏の観光シーズンや週末に訪れる場合は要注意です。