グラナダは約800年にも及ぶイスラム勢力によるイベリア半島の支配を、キリスト教勢力が奪還した地です。この歴史の大舞台となったアルハンブラ宮殿をはじめ、イスラム教徒の暮らしたアルバイシン地区、カトリック両王が埋葬される王室礼拝堂などの見どころがあります。
他都市からグラナダへのアクセスは、鉄道よりもバスを利用する方が路線や本数も多くて便利です。ただ、グラナダの長距離バスターミナルは市中心部から離れており、2014年から大幅にアクセス方法が変わりましたので注意が必要です。また、アルハンブラ宮殿やサン・ニコラス展望台へ行く場合は、アルハンブラバスを利用すると便利です。
グラナダの行き方
スペインの他都市からグラナダへのアクセスはやや不便です。バルセロナからは飛行機で約1時間半、バスで約14時間、電車の場合はバスに乗り継ぎが必要で約8時間(夜行列車は2015年に廃止)かかります。マドリードやセビリア、コルドバからは電車で行くこともできますが、バスの方が運行本数が多くて便利なうえに料金も安いです。
今回はコルドバからALSA社のバスを利用し、約2時間45分でグラナダに到着しました。写真はグラナダの長距離バスターミナル「Estacion Autobuses Granada」です。
グラナダバスターミナルと市中心部は離れているので、市バスで向かいます。グラナダの市バス路線は2014年から大幅に変わり、バスターミナルから中心部へ向かう場合は乗り換えが必要となりました。グラナダバスターミナル前にあるバス停(Estacion Autobuses 2)から市バスに乗車し、途中でLACと呼ばれる大型循環バスに乗り換えます。ルートは下記のようにいくつかありますが、今回は1番のSN2に乗りCruz del Surで乗り換えるルートで向かいました。
- 市バスのSN2番に乗車し、Cruz del Sur(クルスデスール)でLACに乗り換え、Catedral(カテドラル)で下車。
- 市バスのN4番に乗車し、Cruz del Surまたは終点のCaleta(カレータ)でLACに乗り換え、Catedralで下車。
- 市バスのSN1番に乗車し、Fuente Nueva(フエンテヌエバ)でLACに乗り換え、Catedralで下車。
赤い車体が目印の市バス、車内は明るく清潔です。運賃は市バスとLAC共通で1回券1.20ユーロ、60分以内なら市バスからLACの乗り換えは無料です。市バスの場合は自動券売機または車内で運転手から直接購入し、LACの場合は自動券売機で切符を購入します。
バス車内には停留所を知らせてくれる電光掲示板があるので、アナウンスが聞き取れなくても安心です。乗り換え場所のCruz del Surもしっかりと表示されました。市バスは前方のドアから乗車し、後方のドアから降車します。
Cruz del Surに到着したら、LACに乗り継ぎます。LACは2両連結の大型バスで青い車体が目印、4か所あるドアのどこからでも乗降していいです。市バスと同じく、車内には電光掲示板があるので停留所名が表示されます。
LACに乗り継ぐ前には必ず、停留所に設置されている改札用スタンド(左)に切符をかざして読み取りを行なってから乗車して下さい。この時は停留所に係員が居たので、読み取り作業は係員にやってもらいました。隣にはLACの自動券売機(右)も設置されています。
カテドラル前のグラン・ビア・デ・コロン通り沿いにあるCatedral停留所に到着しました。グラナダバスターミナルから中心部までは約20分くらいでした。
グラナダ観光の所要時間
グラナダ観光は、世界遺産のアルハンブラ宮殿が中心となります。観光の拠点となるヌエバ広場周辺とアルハンブラ宮殿は離れていて、基本的にバスまたはタクシーで向かいます。
朝一番から観光すれば丸1日で足りますが、他都市から移動してきて半日潰れた場合は1泊2日必要になります。目安としては、アルハンブラ宮殿が2時間半~4時間+その他のスポットが3時間くらいでしょうか。
グラナダ観光のおすすめモデルコースの地図
今回は実際に、1日目はヌエバ広場・アルバイシン地区→カテドラル→王室礼拝堂、2日目はアルハンブラ宮殿という順で観光しました。
①ヌエバ広場 ②サン・ニコラス展望台 ③サン・ニコラス教会 ④カテドラル ⑤王室礼拝堂 ⑥イサベル・ラ・カトリカ広場 ⑦アルハンブラ宮殿 チケット売り場
ヌエバ広場・アルバイシン地区
グラナダ観光の起点となるのが、街の中心にあるヌエバ広場です。ヌエバ広場周辺には飲食店や土産物店、ホテル、タクシーやバスの乗り場などがあります。
ヌエバ広場の周辺には、スペイン名物のバルがたくさんあります。バルはお酒と小皿料理(タパス)を楽しむことができる、立ち飲み居酒屋のようなお店です。そしてグラナダでは、バルでお酒を頼むとタパスが無料で付いてくる「ただタパ文化」というものがあります。
今回はヌエバ広場のすぐ近くにある、Bodegas Castanedaというバルを訪れました。地元民にも人気の有名店で、お値段は驚くほどリーズナブル。スパニッシュオムレツやオリーブ、チーズといった小皿料理は、ワインやビールを1杯頼むごとに1品付いてきました。無料だから味は期待していなかったのですが、美味しいではありませんか!皆さんもぜひお試しあれ。
ヌエバ広場の北側に広がるエリアはアルバイシン地区と呼ばれており、アルハンブラ宮殿と共に世界遺産に登録されています。かつてイスラム教徒が暮らしていたエリアで、坂の続く迷路のような小道には白壁の家が建ち並んでいます。
中でもカルデレリア・ヌエバ通りはエキゾチックな雰囲気が漂うストリートで、土産物店がびっしりと軒を連ねています。
続いてはアルバイシン地区の丘の上にある、サン・ニコラス展望台へ向かいます。この展望台からはアルハンブラ宮殿の絶景を眺めることができるので、とても人気があるスポットです。中心部からサン・ニコラス展望台やアルハンブラ宮殿へ移動する場合は、アルハンブラバスというバンタイプのミニバスを利用するのが便利です。
サン・ニコラス展望台へは、ヌエバ広場またはカテドラル前の停留所からC1のアルハンブラバスに乗り、サン・ニコラス広場前で下車します。
今回はヌエバ広場前の停留所(Plaza Nueva)から乗車します。C1は8分間隔で運行しているので、ほとんど待たずに乗れました。運賃は1回券1.20ユーロで、切符は運転手から直接購入します。車内は狭いですが、観光客もたくさん利用しているので安心して乗れる雰囲気です。
約10~15分で、サン・ニコラス広場前の停留所(Plaza de San Nicolas)に到着しました。
停留所前の坂を上がっていくと大きな石壁が見えてくるので、脇にある階段を上ればサン・ニコラス展望台に到着です。
この日はあいにくのお天気だったのですが、観光客はフラメンコの演奏をバックミュージックに思い思いの時間を過ごしていました。
まさに絶景!広大なアルハンブラ宮殿の全景を眺めることができます。昼間はもちろんのこと、夕暮れに染まる宮殿や夜にライトアップされる宮殿も息を呑む美しさです。
丘の上に建つアルハンブラ宮殿の先には、グラナダの美しい街並みが広がっています。晴れていればもっと美しい宮殿と街並みを眺めることができたでしょう。
サン・ニコラス広場に面してサン・ニコラス教会が建っています。16世紀に建てられたムデハル様式の教会で、鐘楼から眺めるアルハンブラ宮殿も人気がありますよ。
カテドラル(グラナダ大聖堂)
カテドラルは正式名称をカテドラル・サンタ・マリア・デ・ラ・エンカナシオンと言い、約180年もの歳月をかけて建てられた大聖堂です。当初はゴシック様式で建設が進められていましたが、途中でプラテレスコ様式やルネサンス様式などに変更されたので様々な建築様式が混在しています。
カテドラルの入口は大通りのグラン・ビア・デ・コロン通り側ではなく、ラス・パシエガス広場に面した正面ファサード側になります。
大聖堂の内部は真っ白な壁に覆われており、明るく荘厳な雰囲気が感じられます。
一番の見どころである中央礼拝堂は高さが約45mあり、周囲には小さな礼拝堂が設けられています。礼拝堂の上部には絵画が飾られており、全体は金色で美しく装飾されています。
中央礼拝堂の天井はドームになっており、まるで星空のような空間ですね。
ドームの下には美しいステンドグラスがはめ込まれています。このステンドグラスは、カルロス1世の故郷であるフランドルで制作されたものです。
大聖堂内には巨大なパイプオルガンが二つ設置されています。このパイプオルガンにも素晴らしく豪華な装飾が施されていますね。写真右の聖歌の楽譜は、遠くからでも見えるように大きく音符が描かれているそうです。
白と黒が交互になった大理石の床の模様も素敵です。
大聖堂内は5身廊式になっており、側廊には小さな礼拝堂がいくつもあります。グラナダ大聖堂は、トレドやセビリアの大聖堂よりも控えめな雰囲気だったので好感が持てました。
開館時間:月曜~土曜10:00~18:30、日曜・祝日15:00~18:00
休館日:なし
入場料:5ユーロ ※日曜は入場無料
王室礼拝堂
カテドラルの隣にひっそりと建っているのが、スペイン史を語る上で欠かすことのできない人物が眠る王室礼拝堂です。なんと、グラナダを制圧しスペインを統一に導いたカトリック両王(フェルナンド2世とイサベル1世夫妻)と両王の娘夫妻(フアナ女王とフィリップ公)の棺が安置されています。
外観は地味で入口も目立たないのですが、内部は意外にも豪華な造りです。礼拝堂の中央には、カトリック両王と娘夫妻の素晴らしい彫刻が施された大理石製の墓があります。棺はこの墓の下にある地下室に安置されており、ガラス越しに見学することができます。
残念ながら内部は撮影禁止なので写真はありませんが、礼拝堂の奥は博物館になっておりイサベル女王にまつわる品が収められています。イサベル女王の王冠や杖、女王のコレクションだったフランドル派の彫刻や絵画などが展示されており、中でもディルク・ボウツ作「キリスト受難の三連祭壇画」は必見です。
礼拝堂と博物館をぐるりと見学し、入った時とは違う場所から退場しました。訪れる人は少ないのかなと思っていましたが、スペイン建国の父と母なだけあって観光客にも人気のスポットでしたよ。
開館時間:月曜~土曜10:15~13:30/16:00~19:30、日曜11:00~13:30/14:30~18:30、祝日11:00~13:30/16:00~19:30 ※秋と冬は閉館時間が1時間早くなります
休館日:1/1、12/25、Good Friday(3~4月頃に行われる宗教行事で毎年日付は変動)
入場料:4ユーロ ※日曜の14:30~18:00は入場無料
アルハンブラ宮殿
グラナダ観光のハイライトである世界遺産アルハンブラ宮殿。広大な敷地内にはイスラム建築の最高傑作と言われる宮殿や城塞、中庭といった素晴らしい見どころがあります。
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まとめ
グラナダバスターミナルから中心部への移動は、車内に電光掲示板があったので分かりやすく、思っていたよりも簡単に乗り継ぐことができました。アルハンブラバスは運行本数も多くほとんど待つことなく乗れるので、グラナダ観光にとても役立ちました。バス停にはしっかりと看板が設置されており、観光客でも利用しやすい雰囲気なのでぜひ乗ってみて下さい。
また、グラナダでは観光の起点となるヌエバ広場周辺、または観光の中心となるアルハンブラ宮殿近くのホテルに泊まるのが便利だと思います。私達もヌエバ広場近くのホテル ポサダ デル トロとアルハンブラ宮殿近くのアリサレス ホテルに宿泊しましたが、どちらのホテルも観光にすごく便利でしたよ。