ウィーン国立オペラ座は、パリ・ミラノと並ぶ世界三大オペラ劇場の一つに数えられるオペラの殿堂です。せっかく音楽の都ウィーンを訪れたのなら、憧れのウィーン国立オペラ座で本場のオペラを観てみたいですよね。
ただ我々日本人からすると、オペラってちょっと敷居が高い感じがしませんか?私達も「オペラのチケット代って高そう」「ドレスコードとか難しそう」と思っていました。今回初めてオペラを観劇してみて気が付いた点や、服装・チケット・座席表・料金など初心者向けにオペラ観劇のノウハウをお伝えしていきます。
ウィーン国立オペラ座について
アクセス
地下鉄1・2・4号線 カールスプラッツ(Karlsplatz)駅すぐそば
トラム1・2・62・71・D番線 オペルンリング(Opernring)停留所すぐそば
内部見学ガイドツアー
ウィーン国立オペラ座では、舞台裏や客席に案内してもらえる内部見学ガイドツアーが行われています。英語とドイツ語の他に、日本語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ロシア語のツアーもあります。所要時間は約40分間、不定休なので公式サイトでスケジュールを確認するのがおすすめです。日本語ツアーは15時の回に行われることが多く、オペラ座の入口横にはその日催行されるツアー時間が表示されています。
- 大人 7.5ユーロ
- シニア(65歳以上) 6ユーロ
- 子供 3.5ユーロ
服装・ドレスコード
ガイドツアーは服装自由ですが、オペラ観劇の際はドレスコードがあります。会場の雰囲気に相応しい服装をしていくのが大人のマナーです。特にランクが高い座席は、男性はジャケットとネクタイ、女性はカクテルドレスやワンピースが望ましいです。
とは言え、旅行中だとキッチリとした服装が難しい場合もありますよね。リーズナブルな座席であれば男性なら襟付きシャツと長ズボン、女性ならブラウスやスカートなど、インフォーマルの服装でも大丈夫です。間違ってもTシャツにジーパン、タンクトップにショートパンツといったカジュアル過ぎる服装は控えるように。
ウィーン国立オペラ座の公演チケットについて
オペラ公演のスケジュール
9月上旬~6月下旬頃がオペラの公演シーズンです。公演内容や日程は毎年変わるので、詳しくはウィーン国立オペラ座公式サイトをご覧下さい。
オペラ公演のチケット予約・購入
ウィーン国立オペラ座のチケット予約・購入方法は主に4つあります。
1. ウィーン国立オペラ座公式サイトよりネット予約
公演日の2か月前から予約可能で、座席表を見ながら好きな座席を選ぶことができます。
2. 現地のチケットオフィスで直接購入
オペラ座の向かい側にあるチケットオフィス「ブンデステアター」で、公演日の2か月前から購入可能です。
3. オペラ座のチケット窓口またはインフォメーションで直接購入
オペラ座の玄関ホールにあるチケット窓口または、ケルントナー通り側のアーケード下にあるインフォメーションで購入可能です。前売り券と当日券が購入できます。
4. オペラ座の立見席チケット窓口で直接購入
立見席のチケットは、ケルントナー通り側のアーケード下にある立見席チケットの専用窓口で購入可能です。立見席は当日券のみの販売となります。
オペラ座の座席表
オペラのチケット料金は、公演ランクと座席カテゴリーによって決まっています。 公演ランクは大きく9つに分かれており、上からP→N→G→A→S→B→C→K→Mと演目内容によって異なります。座席の種類は以下のようにいくつかあり、同じ座席でも第1~第8座席までの8つのランク(座席カテゴリー)によって分かれています。
- パルケット(Parkett):舞台正面にある平土間席
- ミッテルロジェ(Mittelloge):舞台真正面にある中央ボックス席
- パルテッレロジェ(Parterre Loge):1階ボックス席
- エルスターラングロジェ(1. Rang Loge):2階ボックス席
- ツヴァイターラングロジェ(2. Rang Loge):3階ボックス席
- プロスツェニウムスロジェ(Proszeniumslogen):各階の舞台真横にあるボックス席
- バルコン(Balkon):2階桟敷席
- ガレリー(Galerie):天井桟敷席
- シュテ―パルテレ(Stehparterre):平土間席奥にある立見席 ※バルコンとガレリーにも立見席があります
オペラ座のチケット料金
ウィーン国立オペラ座の座席カテゴリーごとの大まかな料金です。公演ランクによって料金はだいぶ異なるので、あくまでも目安として考えて下さい。
座席カテゴリー | 料金 |
---|---|
第1座席 | 273€~12€ |
第2座席 | 237€~12€ |
第3座席 | 181€~12€ |
第4座席 | 130€~8€ |
第5座席 | 98€~8€ |
第6座席 | 77€~8€ |
第7座席 | 49€~8€ |
第8座席 | 17€~7€ |
オペラ座の立見席チケット
立見席のチケットは当日券のみの販売で、1人1枚しか購入することができません。平土間席奥のシュテ―パルテレは4€、2階桟敷席のバルコンと天井桟敷席のガレリーは3€です。チケットは公演開始80分前に売り出されるので、1時間半~2時間前に並ぶのがおすすめ。座席は自由席なので、席を確保したらポールにスカーフを巻きつけておくのがルールとなっています。
ウィーン国立オペラ座でのオペラ観劇レポート
それでは、ウィーン国立オペラ座でオペラ観劇した様子をお伝えしていきます。オペラ座は、ウィーン中心部を走る環状道路「リング」沿いに建っています。最寄り駅は3路線が乗り入れる地下鉄カールスプラッツ駅なので、どこに宿泊していてもアクセスしやすいですよ。
オペラ座の目の前にはトラムも走っており、オペルンリング停留所が最寄りになります。
ウィーン国立オペラ座は150年もの歴史を持つ、世界最高峰の歌劇場です。1869年のこけら落とし公演ではモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」が上演され、これまでにマーラーやカラヤンといった権威が歴代総監督を務めています。2002年には世界的指揮者の小澤征爾氏が、東洋人で初めて音楽監督に就任したことでも話題になりましたよね。
こちらがオペラ座の入口で、入口横には内部見学ガイドツアーの催行時間が掲示されていました。言語によって催行時間は異なり、日本語ツアーは15時に行われることが多いです。今回訪れた時も日本語ツアーは15時とのことでしたが、日によっては13時の場合もあるようです。
目抜き通りのケルントナー通り側から見たオペラ座です。このケルントナー通り側のアーケード下に、インフォメーションと立見席のチケット売り場があります。
ウィーン国立オペラ座の魅力の一つが、激安の立見席チケットが販売されていることです。看板が小さいのでちょっと分かりにくかったですが、「STANDING AREA」と書かれているのが立見席のチケット売り場です。私達も当初は立見席のチケットを購入しようと思っていたのですが、列に並んでいたらダフ屋のお兄さんに話掛けられました。
ダフ屋「今日の公演チケット良い席あるよ。立見席よりもおすすめだよ。」
私「本当に立見席より良いの?いくらなの?」
ダフ屋「ほらほら、見取り図見てよ。2階ボックス席の2列目、なかなか良いだろ?1枚13€でオッケーだよ。」
ダフ屋なのになぜか料金が上乗せされていないし、感じの良いお兄さんだったので、急きょ変更してボックス席のチケットを購入することになりました。
オペラ座に入場すると、まずゴージャスなエントランスが目に入りました。中央階段には係員が待機しており、ここでチケットチェックが行われます。平土間席の場合は、大きな荷物やコートをクロークへ預ける必要があります。ボックス席の場合は専用の荷物置き場があるので、預ける必要はありません。
白の大理石を基調として、金の装飾が上品な内装となっています。とても素晴らしい歌劇場だと思うのですが、完成当初のオペラ座は評判が悪かったらしく、設計者2人は批判を苦にこの世を去ってしまったそうです。
気後れしてしまうほど、優雅な雰囲気ですね。
天井には、オペラを題材にしたフレスコ画が描かれていました。
ここはホワイエと呼ばれる、お酒や軽食を楽しみながら休憩する場所です。オペラ座のホワイエは「社交の場」ともなっており、開演前や幕間に繰り出し、語らいに花を咲かせるのがお決まりなんです。
それでは私達の座席、2階ボックス席の7番へ入ります。ボックス席はこのように、一室ごと独立しています。
ボックス席は1列目が3席、2列目が2席、3列目が1席という座席配列になっています。各席には台詞が表示されるモニターが設置されていますが、日本語は表示されません。私達は2列目なのでステージが見えるか心配だったのですが、1列目より椅子が高くなっており、想像以上に見やすくて驚きました。ダフ屋のお兄さんを信じて良かった~!
天井もキラッキラでゴージャス。オペラ座では年間300回近くの公演が行われており、客席の埋まる割合は平均98%という驚異的な人気を誇っています。同じ演目が2日と続かないというのが、観客を飽きさせない秘訣なんですかね。今回自分達が観劇した演目は、ドニゼッティ作曲の喜劇「ドン・パスクワーレ」でした。
座席は上から順に、天井桟敷席、2階桟敷席、3階ボックス席、2階ボックス席、1階ボックス席となっています。写真左下のポールが設置されている所は立見席、その上が中央ボックス席です。ボックス席の2・3列目や桟敷席の中には、ステージが全く見えない席もあるので注意して下さいね。
平土間席は料金が高いですが、音響も演劇も楽しむならここが一番でしょう。
ウィーン国立オペラ座と言えば、専属オーケストラのウィーン国立歌劇場管弦楽団の演奏が聴けるのも魅力です。この楽団はニューイヤーコンサートで有名な「ウィーンフィルハーモニー管弦楽団」の母体楽団なんですよ。
公演中の写真撮影は禁止されているので、直前のリハーサルの様子まででレポートは終了となります。オペラ座ではカーテンコールでの写真撮影、客席内での飲食も禁止されていますよ。実際に観劇してみると、カジュアルな服装の方もかなり見掛けましたが、やはり浮いて見えるので服装にはくれぐれも気を付けて下さいね!
オペラ座の前にあるカフェザッハー
オペラ観劇前のちょっとした時間におすすめなカフェをご紹介します。オペラ座の隣に建つ5つ星ホテル、ホテルザッハーウィーンの1階にあるカフェザッハーです。
日本でもお馴染みのチョコレートケーキ「ザッハートルテ」ですが、実はカフェザッハーが発祥の店ってご存知でしたか?ここのザッハートルテは、濃厚なチョコレートケーキの間にアプリコットジャムが挟まれており、無糖のホイップクリームが添えられているのが特徴です。
この日は時間をずらして15時頃に入店したので、幸いなことに並ばずに済みました。時間帯によっては並ぶこともありますが、回転率は良いのでそれほど待たずに入店できると思います。テラス席もありましたが、衛生的に気になるので店内の席へ(笑)
店内は世界各国からの観光客で賑わっていました。ウェイターさんは外国人慣れしており、おすすめメニューもしっかり教えてくれます。動きも機敏ですし、接客態度も良かったです。
営業時間は8:00~24:00なので、朝食を頂くこともできます。カフェメニューだけでなく、しっかりしたメイン料理など様々なメニューが用意されていました。
今回は定番のザッハートルテセットをオーダー。ザッハートルテ、コーヒー、炭酸水がセットになって14.90€とお得です。日本人にはケーキが甘すぎると聞いていましたが、私達夫婦は甘党なのでペロリと1個ずつ食べれちゃいましたよ(笑)ケーキだけだと確かに重いですが、甘酸っぱいジャムとホイップクリームが絶妙なので、口当たりが良かったです。
まとめ
今回初めてオペラを観劇しましたが、思っていたよりも観光客が多く、敷居は高くないなと感じました。自分達はボックス席の2列目でしたが、1列目は68€なのに2列目は13€と格安なので、気軽に楽しむにはぴったりだったと思います。
またオペラの上演時間は、途中で休憩も挟むので通常2~3時間ほど掛かります。観劇後にホテルへ戻るのが心配な方はオペラスイーツホテルなどオペラ座近くのホテルや、カールスプラッツ駅からアクセスの良いホテルに泊まると安心だと思いますよ。