セビリアのカテドラルは、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂、ロンドンのセント・ポール大聖堂に次ぐ世界で三番目に大きい大聖堂です。内部の広さにはただただ圧倒されるばかりで、ゴヤやムリーリョなどの宗教画、探検家コロンブスの墓など見どころが盛りだくさんです。
また、イスラム教のモスク跡地に建てられたので、あちこちにモスクの面影が残っている不思議な大聖堂です。イスラム時代はミナレットだった「ヒラルダの塔」からは、美しい街並みを一望できるのでぜひ登ってみて下さいね。
カテドラルについて
開館時間
月曜 11:00~15:30
火曜~土曜 11:00~17:00
日曜 14:30~18:00
休館日
なし ※宗教行事により入場時間変更や休館になることもあります。
入場料
9ユーロ ※大人同伴の14歳以下の子供は無料
所要時間
所要時間は大聖堂が約1時間、ヒラルダの塔に登って約30分で合計1時間半~2時間くらいが目安となります。
カテドラル・ヒラルダの塔入場レポート
カテドラル
カテドラル(セビリア大聖堂)は、ゴシック様式とルネサンス様式が混合するスペインで最も大きな大聖堂です。イスラム時代のモスク跡地に建てられたキリスト教会で、レコンキスタ後の15世紀から約100年もの歳月をかけて造られました。
カテドラルの入口はトリウンフォ広場のある南側、ゴシック様式のサン・クリストバル門のそばにあります。サン・クリストバル門の前には、盾と椰子の葉を持った女性のブロンズ像ヒラルディーヨが立っています。この像と同じ物が、ヒラルダの塔の頂上にも設置されています。
今回訪れた時は、入場待ちの行列が少し出来ていました。さすがは一番人気の観光スポット!
10~15分ほどで、入場チケットが購入できました。レシートタイプのチケットを改札ゲートにかざして入場します。オーディオガイドは3ユーロで借りられますが、残念ながら日本語版はありませんでした。
「後世の人に正気の沙汰ではないと思われるような大聖堂を建てよう」という考えのもと、奥行116m、幅76mもある巨大な大聖堂が造られました。サン・ピエトロ大聖堂、セント・ポール大聖堂に次ぐ規模を誇り、4番目に大きなトレド大聖堂とはライバル関係にあります。
内部に入るとすぐにコロンブスの墓があります。棺を担いでいるのは、当時スペインを構成していたレオン、カスティーリャ、ナバーラ、アラゴン王国の4人の王です。
前列右側の王は、十字架の付いた槍でザクロを刺しています。ザクロはスペイン語でグラナダのことを指し、キリスト勢力がレコンキスタによってグラナダからイスラム勢力を追いやったことを意味しています。
聖杯の礼拝堂には、宗教画と聖杯のコレクションが展示されています。礼拝堂に入ってすぐ右手には、立派な主祭壇があります。
このカテドラルのために描かれた祭壇画、ゴヤ作「聖フスタと聖ルフィーナ(聖ユスタと聖ルフィナ)」は必見作品の一つです。天からの光を浴びる聖人2人と、足を舐めるライオン、壊れた女神像が描かれています。
スルバランの作品なども展示されており、まるで美術館のようですね。
主聖具納室はひときわ豪華な部屋で、ムリーリョやスルバランの作品が展示されています。天井が高く、ドーム型の天井からは光が差し込むので明るい空間になっています。真っ白な壁と柱には、美しく繊細な彫刻が施されていますね。
中央祭壇の前には「聖フェルディナンド」と「無原罪のお宿り」の彫像が置かれています。
中央祭壇にはペドロ・デ・カンパーニャ作「十字架降下」が展示されており、部屋の中央には銀製の聖体顕示台が置かれています。
主聖具納室の隣にある参事会控室には、聖書の場面が描かれたレリーフが壁一面に彫られています。天窓から光が差し込む設計になっており、天井に施された装飾が際立って見えますね。
参事会控室の隣ある参事会室は、楕円形の形をしたルネサンス様式の部屋です。クーポラ部分の一番目立つところには、ムリーリョ作「無原罪のお宿り」が飾られています。
浮き彫りなどの美しい装飾が施されており、天窓からは神々しい光が差し込んでいます。
正面には大司教座が置かれています。大理石の床の模様は、ミケランジェロが設計したローマのカンピドリオ広場を真似て造られました。
柵で囲まれていて近づくことはできませんでしたが、こちらはサン・ペドロ礼拝堂です。
サン・ペドロ礼拝堂にはスルバランが手掛けた祭壇衝立があり、中央上部には柔らかな雰囲気の「無原罪のお宿り」が描かれています。
続いては、身廊と翼廊が交差する大聖堂の中央部分にやってきました。左側に主祭壇、右側に聖歌隊席、正面には一番最初に見学したコロンブスの墓が見えます。
後ろを振り返ると、大きな銀の祭壇があります。ちょうどコロンブスの墓の反対側ですね。巨大な王冠や聖母マリア像、聖人イシドロ像などが配された豪華な祭壇です。
コロンブスの墓と銀の祭壇の上部には、円形のステンドグラスがはめ込まれています。
主祭壇は柵で囲まれていて近づくことができないので、隙間から何とか撮影しました。
主祭壇には、カテドラル一番の見どころである「黄金の木製衝立」があります。高さ20m、幅13mもあり、世界最大の飾り壁と言われています。衝立にはキリストやマリアの生涯など聖書の45場面が、繊細な彫刻によってびっしりと描かれています。
主祭壇の向かい側には、同じく柵で囲まれた聖歌隊席があります。
聖歌隊席のイスはマホガニー材で作られており、壁には細やかな彫刻がびっしりと施されていて見事ですね。中央奥には、キリストとマリアの絵に挟まれた司教席が見えます。
サン・アントニオ礼拝堂にも宗教画が展示されており、中でもムリーリョ作「サン・アトニオ・デ・パドヴァの幻想」は見逃せない作品の一つです。19世紀に右下のサン・アントニオの部分だけが切り取られて盗難に遭いましたが、翌年にニューヨークで発見され無事に戻ってきました。確かによく見ると切り取られた跡が見えますね…。
そして隣の壁面には、聖フスタと聖ルフィーナ姉妹、ヒラルダの塔が描かれたステンドグラスがはめ込まれています。この姉妹はセビリアの守護聖人で、16世紀に起こったセビリア大地震では倒れかけたヒラルダの塔を支えたという伝説が残っているそうです。
聖歌隊席の左右には巨大なパイプオルガンが設置されているのですが、外側から見るとこんな感じになっています。写真右はラアンティグア聖母の礼拝堂です。以上で大聖堂内部は全て見学したので、次はオレンジの中庭へ移動します。
オレンジの中庭はイスラムのモスク時代からあった空間で、その名の通りオレンジの木がたくさん植えられています。中庭からは大聖堂とヒラルダの塔を間近で見ることができます。
写真左は、カテドラル北側の翼楼のファサード「受胎の門」で、ゴシック様式らしい重厚な装飾になっています。右はオレンジの中庭の中央にあるアラビア式噴水です。
ヒラルダの塔
大聖堂の隣に建つ高さ約94mのヒラルダの塔は、街のシンボルともいえる存在です。イスラム時代のミナレットを土台にし、キリスト教の鐘楼を継ぎ足して造られました。土台部分は二連アーチ窓やアラベスク模様が施されているので、思いっきりイスラム様式になっています。
塔の上部はルネサンス様式の全く違う装飾が施されているので、どこから継ぎ足されたのかはっきり分かると思います。塔の先端には、入口でも見かけた「ヒラルディーヨ」と呼ばれるブロンズ像が付いています。これは風が吹くと回転する風見鶏になっています。
ヒラルダの塔へは、大聖堂内にあるこの入口から登ります。
看板にはお年寄り、乳幼児連れ、妊婦、心臓疾患のある方は注意して登るよう書かれています。塔の内部は階段ではなく、らせん状のスロープになっているので割と登りやすいです。これは当時、馬に乗ったままでも駆け上がれるようにスロープにしたのだとか。
登っている途中に窓から見えたカテドラルとオレンジの中庭です。まだ半分くらいしか登っていませんね。
塔内部には、発掘品や当時使用していたものが所々で展示されていました。
壁には角を曲がるごとに番号が付いているのですが、この34番の角を曲がって…
最後の階段を上ると…
展望台に到着しました!見晴らしの良い展望台には鐘がたくさん付いてますね。
東方向の景色は、白壁の家が建ち並ぶサンタクルス地区です。高い建物がないので、遠くまで見渡すことができますね。
西方向の景色は、カテドラルとオレンジの中庭です。
よく見ると、奥の方にマエストランサ闘牛場も見えます。
南方向には、トリウンフォ広場とアルカサル、インディアス古文書館が見えます。
奥にはグアダルキビール川、手前には旧タバコ工場(現セビリア大学)もあります。上りは少し大変でしたが、下りはスロープなので階段よりも楽ちんでした。
最後に、北側のペルドン門から退場して見学は終了となります。ペルドン門のアーチ部分はモスク時代の名残である馬蹄形アーチですね。外側から見てみると、わりと新しめのキリスト教の像や彫刻が施されていました。
まとめ
ギネス記録にも認定されるほど大きな教会とは聞いていましたが、実際に訪れてみるとそのスケールの大きさには圧倒されました。入場料は9ユーロと大聖堂にしては高めですが、有名画家の作品が鑑賞でき、塔にも登れるのでお得感があるなと思いましたね。
またセビリアの主な観光スポットはカテドラルの周辺に集まっているので、このエリアに宿泊すると観光や食事に便利だと思います。