韓国の首都ソウルの玄関口である仁川(インチョン)国際空港は、サービスの質や利便性の高さから、毎年行われる世界の空港ランキングで常に上位にランクインしている空港です。日本各地の空港から直行便が飛んでおり、地方在住者にとっては成田や関空で乗り継ぐような感覚で利用できるので、非常に使い勝手が良いのがポイントです。
ソウルにて乗り継ぎが必要な便は、直行便と比べて時間はかかりますが航空券代が安いのも魅力であります。また乗り継ぎ時間を楽しむためのサービスが充実しており、無料観光ツアーやシャワー室、仮眠スペースなどが用意されています。今回は海外の空港での乗り継ぎが初めてという方にも分かりやすいよう、仁川空港の乗り継ぎ方法とトランジットの過ごし方について紹介していきます。
仁川空港での乗り継ぎ方法
仁川空港にはこれまで利用されていた第1ターミナルに加えて、2018年1月に新しく第2ターミナルがオープンしました。基本的にフラッグキャリア(正規航空会社)は第1ターミナルと第2ターミナルのいずれか、LCC(格安航空会社)は第1ターミナルと第2ターミナルの間にあるコンコース(サテライトターミナル)に発着します。利用する航空会社がどのターミナルに発着するのか、あらかじめ確認しておくといいでしょう。
またターミナル間の移動がある場合は、無料のシャトルトレインに乗って移動する必要があります。シャトルトレインは、第1ターミナル ⇔ コンコース ⇔ 第2ターミナルの順に停まります。ターミナル間の移動は意外と時間がかかるので、接続便に乗り遅れないよう注意して下さいね。
日本航空、全日空、アシアナ航空、ユナイテッド航空、アメリカン航空、ブリティッシュエアウェイズ、ルフトハンザ航空、フィンエアー、カタール航空、エミレーツ航空、エティハド航空、その他の海外航空会社
ピーチ、エアアジア、チェジュ航空、ジンエアー、ティーウェイ航空、イースター航空、エアソウル
大韓航空、デルタ航空、エールフランス航空、アリタリア航空、KLMオランダ航空
日本出発~ソウル到着
これまでに何度もソウル乗り継ぎを経験していますが、今回は日本 → ソウル → フィリピンのマニラ線を利用し、第1ターミナルで乗り継いだ例を紹介します。第2ターミナルで乗り継ぐ場合も、基本的に手順は同じです。日本人も数多く利用する仁川空港では、日本語の案内表示が空港内のあちこちにあります。案内に従っていけば簡単に乗り継げるので、海外での乗り継ぎが初めてという方も心配ありません。
まず日本出発時の搭乗手続きでは、最終目的地までの搭乗券が発券されます。乗り継ぎ便の搭乗ゲートはこの時点で決まっている場合もあれば、決まっていないこともあります。仁川空港に着いたら、発着掲示板にて搭乗ゲートを必ず確認して下さい。
海外空港の乗り継ぎでは、受託手荷物について心配される方も多いかと思います。ほとんどの場合、受託手荷物は最終目的地まで運ばれるので、仁川空港で荷物を受け取ることはありません。異なるエアラインに乗り継ぐなど珍しいケースの場合は、搭乗手続きの際に地上係員に確認するといいでしょう。
仁川空港に到着後は「Transfer」の案内通りに進む
ソウル到着後は、飛行機を降りたらすぐに「Transfer/乗り継ぎ」と書かれた看板があるので、その案内通りに進みます。
進んで行くと、その途中にトランジットツアーデスクがあります。仁川空港では乗り継ぎ客を対象とした無料のトランジットツアーを催行しており、ここでパンフレットを貰って説明を聞くことができます。
発着掲示板があるので、接続便の搭乗ゲートを一度確認しておくといいでしょう。
大きな矢印の書かれた「Transfer/乗り継ぎ」の看板があります。ここで曲がると、保安検査場に着きます。
保安検査場にて手荷物検査を受ける
保安検査場では、乗り継ぎ便の搭乗券とパスポートを用意して列に並びます。諸事情で乗り継ぎ便の搭乗券を持っていない場合は、eチケットを提示すればOKです。係員の指示に従い、手荷物をX線検査装置に通してセキュリティチェックを受けます。ペットボトルなどの飲料類はここで没収されてしまうので、検査前に飲み切っておくといいでしょう。
出国フロアの3階へ上がる
保安検査を終えたら目の前にエスカレーターがあるので、出国フロアの3階へ上がります。「Departures/出発」と案内があるのですぐに分かります。
3階の出国フロアへ上がってきたところです。インフォメーションセンターがターミナルの中央付近に2カ所あります。
仁川空港利用案内のパンフレットも置いてあるので、何か困った時は立ち寄ってみるといいでしょう。
搭乗ゲートへ向かう
ここでもう一度、発着掲示板にて乗り継ぎ便の搭乗ゲートを確認しておきます。直前になって搭乗ゲートが変更されることも珍しくありません。巨大な仁川空港では搭乗ゲートを間違えると引き返すのが大変なので、くれぐれも注意して下さいね。
ターミナル間の移動がある場合は、無料のシャトルトレインに乗って行きます。「Shuttle Train/シャトルトレイン」の案内表示に従って進むと、ターミナルの中央付近にシャトルトレイン乗り場があります。
ここからエスカレーターでワンフロア下ったところがシャトルトレイン乗り場です。
シャトルトレインは第1ターミナルからだと、コンコース(搭乗ゲート101~132番) → 第2ターミナル(搭乗ゲート230~270番)の順に停まります。第2ターミナルへ行くには、コンコースでもう一度シャトルトレインに乗り換える必要があるため少し時間がかかります。
早めの行動を心がけ、チケットに記載されているボーディングタイムには搭乗ゲートに居るようにしましょう。
仁川空港は免税店やお土産ショップ、レストラン、カフェなどが充実しています。乗り継ぎ時間に余裕があれば、空港グルメやショッピングを楽しむのもいいですね!
乗継便の搭乗券を持っていない場合
珍しいケースではありますが、日本でのチェックイン時に乗り継ぎ便の搭乗券を発券してもらえない場合があります。私達が以前に経験したケースでは、最終目的地のハノイに台風が接近していたため運航か欠航かギリギリまで分からず、乗り継ぎ便の搭乗券を発券してもらえませんでした。仁川空港に着いたら乗り継ぎカウンターで、状況を確認してほしいとの指示が。こんなケースに遭遇したら、乗り継ぎカウンターでチェックイン手続きをし、搭乗券を発券してもらいましょう。
乗り継ぎカウンターの場所
- 第1ターミナル:4階の東側と西側の2カ所
- コンコース:3階の東側と西側の2カ所
- 第2ターミナル:2階と4階の東側と西側にそれぞれ2カ所ずつ
第1ターミナルの場合は、3階の出国フロアから4階の乗り継ぎカウンターへと向かいます。「Transfer Desk」と看板が出ているので、すぐに分かると思います。
ここからエスカレーターで4階へ上がります。
チェックイン手続きと発券
4階へ上がるとすぐに乗り継ぎカウンターがあります。この時は欠航するのではないかとヒヤヒヤしましたが、無事にチェックインでき発券してもらうことができました。この後はまた3階に下りて、搭乗ゲートに向かうだけです。
トランジットの過ごし方
国際ハブ空港である仁川空港には、乗り継ぎ客を飽きさせないための施設やサービスが充実しています。乗り継ぎ時間が長い場合は、空港内の施設で過ごしたり、韓国に一時入国するといった方法で時間を潰すことができます。
空港内の施設で過ごす場合
乗り継ぎ客専用ラウンジ
第1ターミナルと第2ターミナルの4階には、乗り継ぎ客専用ラウンジ(トランスファーラウンジ)があります。仁川空港で乗り継ぎされる方は、誰でも無料で利用できるゾーンです。
▲ 第1ターミナルのトランスファーラウンジ見取り図
出国フロアの3階から4階へ上がると、トランスファーラウンジがあります。4階は東側と西側のエリアに分かれており、東西を行き来することはできませんが、同じ施設がほぼ同じレイアウトで配置されています。先ほど紹介した「乗り継ぎカウンター」もこのフロアにあります。
無料シャワー
第1ターミナル4階(東・西)、第2ターミナル4階(東・西)、コンコース4階中央
仁川空港では、なんと乗り継ぎ客なら無料でシャワーが利用できます。他の空港なら有料であるはずのシャワーも、無料で浴びられるというのは嬉しいですよね!営業時間は7:00~21:30。タオルは無料で貸してもらうことができ、ドライヤーも無料で使えます。シャワー室は鍵付きの個別ブースになっており、女性でも安心して使える清潔なシャワー室でした。
リラックスゾーン(休憩エリア)
第1ターミナル4階(東・西)、第2ターミナル4階(東・西)
インターネット・充電コーナー
第1ターミナル4階(東・西)、第2ターミナル4階(東・西)
インターネットコーナーには、無料で利用できるパソコンが設置されています。電源コンセントやUSBのスマホ充電コーナーもあります。コンセントはC型プラグなので、変換プラグを持参するといいかも。
キッズゾーン
第1ターミナル4階(東・西)、第2ターミナル4階(東・西)
NAP ZONE(仮眠ゾーン)
第1ターミナル4階(東・西)、第2ターミナル4階(東・西)、コンコース4階中央
仮眠ゾーンにはリクライニングチェアが設置されているので、横になって休むことができます。照明が抑えられていて、ゆっくりと休める静かな環境です。機内用の枕やブランケットを持参して、本格的に寝ている人もいました。うっかり寝過ごさないように、アラームをかけておくといいかもしれませんね。
マッサージ
第1ターミナル4階(東・西)、第2ターミナル4階(東・西)
有料にはなりますが、マッサージ店もあります。営業時間は7:00~20:30。マッサージチェアが20分/10,000ウォンのほか、ボディマッサージも受けられます。
ラウンジ
SKY HUB LOUNGEは、有料のラウンジです。プライオリティパスや対象のクレジットカードをお持ちの方は無料で利用できます。
トランジットホテル
第1ターミナルと第2ターミナルの4階には、それぞれ国際線乗り継ぎ客専用のトランジットホテルがあります。滞在時間は12時間と24時間のどちらかを選ぶことができ、宿泊料金は1室約13,000円~。ちょっと高めではありますが、空港直結ホテルは便利で安心感があります。
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レストラン
第1ターミナル地下1階・4階、第2ターミナル地下1階・4階
地下1階と4階には、フードコートやレストラン街が点在しています。韓国料理をはじめ、日本食や中華、ファストフード、カフェまで色んなグルメが楽しめます。
韓国伝統文化センター
第1ターミナル3階(東館25番・西館29番搭乗ゲート付近)、第2ターミナル3階
出国フロアの3階には、伝統工芸品を扱う韓国伝統文化センターがあります。営業時間は7:00~22:00。15時と16時には伝統音楽の公演も行われており、ちょっとした時間潰しにはぴったりのところです。
韓国に一時入国する場合
韓国に一時入国する場合は、乗り継ぎでは通常必要のない出入国カードを機内で貰う必要があります。出入国カードには、韓国での滞在先(ホテル)欄に「Transit」または「Transfer」と記入して提出すればOKです。
Point!飛行機を降りたら「Immigration/入国審査」の案内に従って進みます。入国審査場ではパスポートと出入国カードを用意し、「Foreign Passport/外国籍」の列に並びましょう。受託手荷物は最終目的地まで運ばれるので、「Baggage Claim/手荷物受取所」は素通りして大丈夫です。
一時入国するには、移動+観光+出入国にかかる時間を考えると、乗り継ぎ時間は5時間以上が推奨です。5時間以下の場合は、空港内で過ごすことをおすすめします。もし飛行機に乗り遅れてしまっても自己責任ですので、くれぐれも時間に余裕を持って空港へ戻りましょう。
ソウル市内観光
仁川空港からソウル市内までは、一番早く行ける空港鉄道A’REXの直通列車(特急)を利用して、片道約45分かかります。
空港鉄道A’REXの割引チケットを予約する
そのため空港から市内へ出て観光・グルメ・ショッピングを楽しむなら、7~8時間は欲しいところです。
空港そばの雲西エリアで食事・ショッピング
ソウル市内まで出るほどの時間がない方は、仁川空港そばの雲西(ウンソ)エリアで食事・ショッピングを楽しむという方法もあります。空港鉄道A’REXの一般列車(各駅停車)に乗り、仁川空港から2つ目の雲西駅で下車します。仁川空港~雲西駅は10分弱でアクセスできるので、ちょっとした観光にはぴったりのところ。
空港新都市の雲西エリアには、ホテルや飲食店、コンビニなどがあります。駅前通りには大型スーパーの「ロッテマート」もあるので、お菓子やコスメなどのショッピングを楽しむのもいいですね。
チゲ鍋や焼き肉などの韓国グルメを堪能するのも◎。
パラダイスシティでカジノ体験
仁川空港のそばには、統合型カジノリゾート(IR)のパラダイスシティがあります。空港の交通センター2階からリニアモノレール(磁気浮上鉄道)に乗り、3つ目のパラダイスシティ駅で下車。空港から5分程度でアクセスできるので、雲西エリアよりもさらに気軽に行けます。
パラダイスシティには、カジノと5つ星ホテルのほか、遊園地、ショッピングモール、プール、サウナなどが揃っています。
空港の到着ロビーにあるパラダイスシティカウンターでは、カジノ無料体験クーポンがもらえます。海外旅行ならではのカジノ体験を楽しむのもいいかもしれませんね。
無料トランジットツアー
自力で観光するのが不安だという方は、無料のトランジットツアーに参加すれば気軽にソウル観光を楽しむことができます。ツアーの申し込みは先着順で、事前にネット予約も可能です。ツアー参加の際には、パスポートと搭乗券またはEチケットが必要になります。全てのツアーは英語での催行です。
トランジットツアーデスクは、第1ターミナルと第2ターミナルの入国審査場の手前にそれぞれ2か所ずつあります。ツアーの申し込みは、各ターミナル1階中央のトランジットツアーデスク(第1ターミナルは1階8番ゲート付近、第2ターミナルは1階3番ゲート付近)にて行ないます。
- エンターテインメントツアー 1時間:パラダイスシティアートエンターテインメント
- 新旧が融合する街・仁川シティツアー 2時間:松島韓屋村、セントラルパークまたはトリプルストリート
- 冒険ツアー 4時間:光明洞窟(月曜日は月尾島公園と新浦市場に変更)
- 寺院ツアー 4時間:伝燈寺、徳津鎮
- 韓国文化ツアー 4時間:ソウルワールドカップ競技場、弘大エリア
- ショッピングツアー 5時間:明洞、南大門市場
- 伝統ツアー 5時間:景福宮、仁寺洞(火曜日は景福宮が休日のため昌徳宮に変更)
※開催時間やツアー詳細については、仁川空港公式サイトをご覧下さい。
まとめ
仁川空港の魅力は、まるで国内の空港で乗り継ぐような感覚で利用できる点でしょう。誰でも安心して利用できるので、海外乗り継ぎのデビューにはぴったりの空港です。空港施設内には無料のサービスが充実しているので、乗継時間が長い場合でも快適にトランジットの時間を過ごせそうですね。快適すぎて次の飛行機に乗り遅れないよう、くれぐれも注意して下さいね!