ホー・チ・ミン元国家主席の眠るホーチミン廟周辺には、晩年までの15年間を過ごしたホーチミンの家や国会議事堂、独立宣言の読まれたバーディン広場といった、ベトナムの歴史を語る上で欠かすことのできない重要な建物が集まっています。
ホーチミン廟は軍によって厳重に警備されているうえ、ハノイでも特に人気がある観光スポットのため、いつも行列ができ、待ち時間が長いことで知られています。見学時の注意事項や、実際にどれくらい時間がかかるのかレポートしてきました。
ホーチミン廟周辺の地図
ホーチミン廟に入場すると、自然に以下のような順路を辿るようになります。基本的にホーチミンの家は入場しないといけないルートになっています。
- ホーチミン廟入口で荷物を預ける(地図①)
- ホーチミン廟(②)
- ホーチミンの家入口で入場チケットを購入(③)
- ホーチミンの家(④)
- 一柱寺(⑤)
- ホーチミン博物館(⑥)
- 荷物を受け取り退場する(①)
ホーチミン廟
ホーチミン廟は、ベトナムの独立と南北統一に生涯を捧げたホー・チ・ミン元国家主席の眠る霊廟です。遺体は永久保存処理され、ガラスケースの中に安置されています。
開館時間
4~10月 7:30~10:30
11~3月 8:00~11:00
休館日
月曜と金曜
※毎年9~11月頃は遺体メンテナンスのため約2か月休館します。
入場料
無料
所要時間と待ち時間
待ち時間も含めて、所要時間は1時間ほどです。私達は平日の朝8時30分頃に訪れましたが、思っていたよりも行列はスムーズに進み、廟内は立ち止まることができないので見学はあっという間に終わりました。
時期や時間帯によっては、待ち時間だけで1時間かかる場合もあります。なるべく朝早い時間帯に訪れるのがおすすめです。土日祝などベトナムの休日も混雑する傾向にあります。
注意事項と服装
- カメラや私物の持ち込みは一切禁止(飲料は未開封でも没収)なので入口で預けます。
- 廟内では写真撮影、私語、立ち止まったりすることは厳禁。
- ショートパンツ、膝上丈のスカート、ノースリーブといった肌の露出が多い服装では入場できません。帽子とサングラスも禁止。
平日の朝8時30分頃に訪れましたが、行列は思っていたよりも短めでした。スムーズに進み、5分ほどでセキュリティチェックの順番が来ました。
この建物内で手荷物検査を受けるのですが、問答無用で未開封のペットボトルを没収されてしまいました。検査場を通過するとすぐに手荷物預かり所があり、ここでバッグを預けます。カメラは電子機器専用袋に入れるよう指示され、専用袋を持ったまま順路を進みます。
屋根付き廊下を進んでいった先に、カメラなどの電子機器預かり所がありますので、専用袋ごと預けます。
その後も順路通りに、ぞろぞろと通路を進んでいきます。
手荷物検査場からホーチミン廟の入口まではスムーズに進みましたが、結構な距離を歩かされました。白い制服の兵士が2名立っている、建物正面の入口から入場します。建物内は薄暗くひんやりとしており、何人もの兵士によって厳重に警備されています。おしゃべりをしたり、立ち止まったりすると兵士から注意されます。
ホー・チ・ミン元主席の遺体はガラスケースの中に安置されており、まるで蝋人形のように美しく、ふっくらとした安らかな顔をされておりました。
あっという間に見学を終えると、建物の裏手に出てきます。
こちらの受取所にてカメラなどの電子機器を受け取ります。この受取所では電子機器のみ受け取れます。バッグは入口の手荷物預かり所まで戻らないと受け取れないのでご注意下さい。
ホーチミン廟の正面には、芝生の敷き詰められたバーディン広場が広がっています。ここは1945年9月2日にホー・チ・ミン元主席によって、ベトナムの独立宣言が読み上げられた場所です。
そしてバーディン広場を挟んで向かい側には、国会議事堂があります。
ホーチミンの家
ホーチミンの家は広大な敷地の中にあり、ホー・チ・ミン元主席が亡くなる直前まで住んでいた家や各国の要人を招いていた大統領府といった建物があります。
定休日:月曜と金曜の午後
入場料:2万5000ドン
所要時間:30分
▲ ホーチミンの家の見取り図
①入口とチケット売り場 ②政治局会議室 ③第54号房屋 ④池 ⑤マンゴーの道 ⑥ホーチミンの家 ⑦土産物屋と売店
ホーチミンの家はホーチミン廟の隣の敷地にあります。この入口でチケットを購入して入場するのですが、そのことを知らずに素通りして売り場の人に呼び止められている人がいました。
入場して一番最初に見える黄色の大きな建物は、各国の要人を招いていた大統領府です。内部の一般公開はされていないので、外観のみの見学となります。
続いて見えてくるのは政治局会議室で、会議や接待に使われていた建物です。
政治局会議室の隣には、車の展示室と第54号房屋があります。クラシックカーはソ連などから贈られたものが3台展示されており、実際にホー・チ・ミン元主席が使用していたものです。第54号房屋は、1954~1958年まで住居兼仕事部屋として使用されていました。
敷地内はまるで植物園のように、自然豊かで静かな環境です。様々な木々や花が植えられ、大きな池もあります。
池の周りには観音様のように見える木の根が、にょきにょきと生えています。
こちらは、ホー・チ・ミン元主席が毎朝歩いていたマンゴーの道です。道の両脇にマンゴーの木が植えられています。
ホー・チ・ミン元主席が晩年の1969年まで過ごした家です。部屋の中には入れませんが、廊下から見学することができます。伝統的な高床式の建物で、家具や調度品はシンプルなものばかりです。一国の長が住むにはあまりにも質素すぎる家なので、衝撃を受けました。こういった人柄だからこそ、今でも国民から「ホーおじさん」と呼ばれ愛されているんでしょうね。
高床式なので1階のダイニングには壁がありません。電話やヘルメット、長椅子なども置かれていました。
2階には書斎と寝室がありましたが、デスクもベッドも簡素なものです。
こちらの鯉は、ホー・チ・ミン元主席が毎日エサをあげて育てていたものです。
池をぐるりと一周して出口へ向かいます。
出口付近には飲み物やアイスなどが売っている売店、ホー・チ・ミン元主席のグッズを扱っているお土産ショップがあります。
ここを抜けると、一柱寺へ向かう道に出ます。
一柱寺
一柱寺は、延祐寺というお寺の敷地内にある楼閣のことです。その名の通り、一本の柱だけで池に立つお寺で、子宝祈願のスポットとして知られています。
定休日:無休
入場料:無料
所要時間:15分
ホーチミンの家から真っ直ぐ歩いていくと、「圓覺門」と書かれた黄色の門が見えてきます。
門をくぐると、小さな本堂の延祐寺があります。
延祐寺は11世紀に李朝第二代皇帝リー・タイトンによって建てられました。世継ぎに恵まれなかったリー・タイトンですが、蓮の上に立つ観音菩薩の夢を見たところ妃が懐妊しました。
そのお礼にと、池に浮かぶ蓮の花をかたどった一柱寺を建てたのです。このため、今では子宝祈願のパワースポットとして人気があります。
延祐寺と一柱寺の隣には、ホーチミン博物館があります。私達は入場しませんでしたが、ホー・チ・ミン元主席の生い立ちから革命家になるまでの一生を知ることができます。
「EXIT」の看板通りに進みます。
手荷物預かり所にて預けたバッグを受け取り、退場します。
まとめ
ペットボトルなどの飲料類は入口で没収されてしまうので、特に暑い日の見学は熱中症に注意が必要です。ホーチミンの家の出口付近には、ちょっとした売店があるので水分補給すると良いかもしれませんね。
ホーチミン廟にはベトナム人もたくさん拝観に来ており、ホー・チ・ミン元主席は国家の礎を築いた偉大な人物なんだと改めて感じることができました。